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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
今、生きているかどうか、それを知りたいです」
正吉は、あまりうれしがらなかった。
「ふーン。君はこの発見を、その程度の値打にしか考えないのか。私なら、もっとよろこぶがなあ。つまり三ヶ月前に生きているものなら、今も生きているだろうとね。三ヶ月なんか、この月世界ではなんでもない短い期間だよ」
「そうでしようか。ぼくは、おじが現在生きている姿を見せてくれるまでは、うれしがらないでしょう」
「おやおう。だいぶんごきげんよろしくないようだ。そんなに悲観してしまっては困るね」
せっかくカンノ博士がわざとそういったのだと思い、よろこぶ気になれなかったのである。
迫る怪影
警鈴が、この宇宙艇「新月号」の隅から隅までに響きわたったのは、その直後のことであった。
「あッ、警鈴だ」
「なんだろう、今頃警鈴が鳴るなんて……」
正吉もカンノ博士も、共に耳をそばだてて、警鈴の次に高声器からとび出してくるはずのアナウンスを待ちうけた。
「月人一名が本艇右舷の第三門口を破壊しようとかかっている――艇長命令。全員直ちに配置につけッ」
さあ、たいへん。月人の来襲である。
来襲した月人は、今のところたった一人だというが、ゆだんはならない。