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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
これには、まだいささか時間が必要であった。
「用意よろし」の報告を待つマルモ隊長は、ついにそれを待かねて、探照灯の点火を命じた。
青白い数條の光が、さっと巨艇からとび出した。その光が、でこぼこの月面を照しつけ、左右に掃いた。おどろいたことに、どの光も、ものものしい月人部隊の進撃姿をいっぱいに捕えていた。
その数は何十万とも知れぬ月の大軍だ。
「出発用意よろし」の報告は、まだマルモ隊長のところへはとどかない。そばに立っている正吉は、気が気でなかった。
はたして月人の襲撃前に、わが「新月号」は月世界を離れることができるかどうか?
アブラ虫競走
マルモ探検隊員をのせて、ロケット新月号は今や大宇宙を矢よりも早く進む。
暗黒の月世界をだんだんはなれ、その向こう側の昼の面が、大きな三日月の弧となって動きあがって来る。
これからロケットは、いよいよ火星のあとをおいかけることになったのだ。
ここ当分は、たいくつな航空がつづく。いかに希有燃料ルナビゥムをたくさん使っても、火星においつくまでには、約三ヶ月の日数がかかる計算になっていた。
乗組員たちは、今からたいくつになってはたいへんだと、たいくつをまぎらすための、いろいろな工夫をこらす。