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さんじゅうねんごのとうきょう

三十年後の東京

海野 十三

「少年読売」1947(昭和22)年10~12月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,731 字 · 28 页

青空文庫

カンノ博士は、その学部の教授だった。

他の三人は博士の友人だったが、婦人は通信技術者、男の一人は音楽家、もう一人は小説家だった。

いよいよ金属球を開く日が来た。

大講堂は大入満員だった。

ここは階段式になっていて、まわりの座席は高く、演壇はまん中にあって、どこよりも低く、そこへあがるには地下道からしなければならなかった。問題の金属球は、この演壇の上におかれてあった。そして周囲には偏光ガラスのついたてがとりまいていた。これは、中からは外が見えないが、反対に外から中はよく見えるものだった。こんなついたてを用いたわけは、金属球の中から出て来るはずの小杉正吉少年を、あまりたくさんの見物人のためにびっくりさせないための心づかいだった。

カンノ博士とあと五人の人だけがついたての中に入った。そして金属球の扉Aの中にあった注意書のとおり、その底をやぶって電気のプラグを出し、それに指定どおりの交流電気を送りこんだ。それはちょうど午前十時だった。

その翌々日の午前十時に、みんなが手にあせにぎっているうちに、その球は花がひらくように、しずかに四つにわれた。そして中からかわいい少年があらわれた。