轻松读懂日语经典作品
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さんしろう
三四郎
三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页
蚊帳の向こうで「お先へ」と言う声がした。三四郎はただ「はあ」と答えたままで、敷居に尻を乗せて、団扇を使っていた。いっそこのままで夜を明かしてしまおうかとも思った。けれども蚊がぶんぶん来る。外ではとてもしのぎきれない。三四郎はついと立って、鞄の中から、キャラコのシャツとズボン下を出して、それを素肌へ着けて、その上から紺の兵児帯を締めた。それから西洋手拭を二筋持ったまま蚊帳の中へはいった。女は蒲団の向こうのすみでまだ団扇を動かしている。
「失礼ですが、私は癇症でひとの蒲団に寝るのがいやだから……少し蚤よけの工夫をやるから御免なさい」
三四郎はこんなことを言って、あらかじめ、敷いてある敷布の余っている端を女の寝ている方へ向けてぐるぐる巻きだした。そうして蒲団のまん中に白い長い仕切りをこしらえた。女は向こうへ寝返りを打った。三四郎は西洋手拭を広げて、これを自分の領分に二枚続きに長く敷いて、その上に細長く寝た。その晩は三四郎の手も足もこの幅の狭い西洋手拭の外には一寸も出なかった。女は一言も口をきかなかった。女も壁を向いたままじっとして動かなかった。
夜はようよう明けた。