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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

「冗談じゃない」

与次郎は本を一冊持ったまま、廊下伝いに梯子段の下まで行って、例のとおりの声で、

「里見さん、里見さん。書物をかたづけるから、ちょっと手伝ってください」と言う。

「ただ今参ります」

箒とはたきを持って、美禰子は静かに降りて来た。

「何をしていたんです」と下から与次郎がせきたてるように聞く。

「二階のお掃除」と上から返事があった。

降りるのを待ちかねて、与次郎は美禰子を西洋間の戸口の所へ連れて来た。車力のおろした書物がいっぱい積んである。三四郎がその中へ、向こうむきにしゃがんで、しきりに何か読み始めている。

「まあたいへんね。これをどうするの」と美禰子が言った時、三四郎はしゃがみながら振り返った。にやにや笑っている。

「たいへんもなにもありゃしない。これを部屋の中へ入れて、片づけるんです。いまに先生も帰って来て手伝うはずだからわけはない。――君、しゃがんで本なんぞ読みだしちゃ困る。あとで借りていってゆっくり読むがいい」と与次郎が小言を言う。

美禰子と三四郎が戸口で本をそろえると、それを与次郎が受け取って部屋の中の書棚へ並べるという役割ができた。