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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

あぶない。気をつけないとあぶない」と言いながら、さんざん食い散らした水蜜桃の核子やら皮やらを、ひとまとめに新聞にくるんで、窓の外へなげ出した。

今度は三四郎も笑う気が起こらなかった。レオナルド・ダ・ヴィンチという名を聞いて少しく辟易したうえに、なんだかゆうべの女のことを考え出して、妙に不愉快になったから、謹んで黙ってしまった。けれども相手はそんなことにいっこう気がつかないらしい。やがて、

「東京はどこへ」と聞きだした。

「じつははじめてで様子がよくわからんのですが……さしあたり国の寄宿舎へでも行こうかと思っています」と言う。

「じゃ熊本はもう……」

「今度卒業したのです」

「はあ、そりゃ」と言ったがおめでたいとも結構だともつけなかった。ただ「するとこれから大学へはいるのですね」といかにも平凡であるかのごとく聞いた。

三四郎はいささか物足りなかった。その代り、

「ええ」という二字で挨拶を片づけた。

「科は?」とまた聞かれる。

「一部です」

「法科ですか」

「いいえ文科です」

「はあ、そりゃ」とまた言った。三四郎はこのはあ、そりゃを聞くたびに妙になる。向こうが大いに偉いか、大いに人を踏み倒しているか、そうでなければ大学にまったく縁故も同情もない男に違いない。