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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

目がはっきりしている。額がお光さんのようにだだっ広くない。なんとなくいい心持ちにできあがっている。それで三四郎は五分に一度ぐらいは目を上げて女の方を見ていた。時々は女と自分の目がゆきあたることもあった。じいさんが女の隣へ腰をかけた時などは、もっとも注意して、できるだけ長いあいだ、女の様子を見ていた。その時女はにこりと笑って、さあおかけと言ってじいさんに席を譲っていた。それからしばらくして、三四郎は眠くなって寝てしまったのである。

その寝ているあいだに女とじいさんは懇意になって話を始めたものとみえる。目をあけた三四郎は黙って二人の話を聞いていた。女はこんなことを言う。――

子供の玩具はやっぱり広島より京都のほうが安くっていいものがある。京都でちょっと用があって降りたついでに、蛸薬師のそばで玩具を買って来た。久しぶりで国へ帰って子供に会うのはうれしい。しかし夫の仕送りがとぎれて、しかたなしに親の里へ帰るのだから心配だ。夫は呉にいて長らく海軍の職工をしていたが戦争中は旅順の方に行っていた。戦争が済んでからいったん帰って来た。まもなくあっちのほうが金がもうかるといって、また大連へ出かせぎに行った。