轻松读懂日语经典作品
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さんしろう
三四郎
三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页
――それでいらしったの」とわざわざ聞いた。
「ええ」と言って少し躊躇した。あとから「まあ、そうです」と答えた。女はまったく歯を隠した。静かに席を立って、窓の所へ行って、外面をながめだした。
「曇りましたね。寒いでしょう、戸外は」
「いいえ、存外暖かい。風はまるでありません」
「そう」と言いながら席へ帰って来た。
「じつは佐々木が金を……」と三四郎から言いだした。
「わかってるの」と中途でとめた。三四郎も黙った。すると
「どうしておなくしになったの」と聞いた。
「馬券を買ったのです」
女は「まあ」と言った。まあと言ったわりに顔は驚いていない。かえって笑っている。すこしたって、「悪いかたね」とつけ加えた。三四郎は答えずにいた。
「馬券であてるのは、人の心をあてるよりむずかしいじゃありませんか。あなたは索引のついている人の心さえあててみようとなさらないのん気なかただのに」
「ぼくが馬券を買ったんじゃありません」
「あら。だれが買ったの」
「佐々木が買ったのです」
女は急に笑いだした。三四郎もおかしくなった。
「じゃ、あなたがお金がお入用じゃなかったのね。ばかばかしい」
「いることはぼくがいるのです」