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さんしろう
三四郎
三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页
もとから込み合った客車でもなかったのが、急に寂しくなった。日の暮れたせいかもしれない。駅夫が屋根をどしどし踏んで、上から灯のついたランプをさしこんでゆく。三四郎は思い出したように前の停車場で買った弁当を食いだした。
車が動きだして二分もたったろうと思うころ、例の女はすうと立って三四郎の横を通り越して車室の外へ出て行った。この時女の帯の色がはじめて三四郎の目にはいった。三四郎は鮎の煮びたしの頭をくわえたまま女の後姿を見送っていた。便所に行ったんだなと思いながらしきりに食っている。
女はやがて帰って来た。今度は正面が見えた。三四郎の弁当はもうしまいがけである。下を向いて一生懸命に箸を突っ込んで二口三口ほおばったが、女は、どうもまだ元の席へ帰らないらしい。もしやと思って、ひょいと目を上げて見るとやっぱり正面に立っていた。しかし三四郎が目を上げると同時に女は動きだした。ただ三四郎の横を通って、自分の座へ帰るべきところを、すぐと前へ来て、からだを横へ向けて、窓から首を出して、静かに外をながめだした。風が強くあたって、鬢がふわふわするところが三四郎の目にはいった。