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しげき「すいせんともくぎょ」

三好十郎の仕事 別巻

三好 十郎

三好十郎『三好十郎の仕事 別巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:詩劇「水仙と木魚」、殺意(ストリップショウ)、清水幾太郎さんへの手紙、樹氷。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 220,145 字 · 440 页

青空文庫

そいでまあ、俺あこれから海尻の郵便局の林さんとこへ寄って話をして、それから落窪の実行組合の人たちに逢えれば逢って話をした上で、今夜金吾の所さ行って、泊りこんでようく話をつけべえとこう思ってな。

お豊 そうかね。おめえさんが行ってくれりゃ安心だ。

お仙 (上り端に茶を出して)壮六のおじさん、お茶でやんす。

壮六 あい、ありがとうよ。(茶碗をとって、立ったまますする)

お豊 家の喜助がまた酒でも飲んだとなると、どんな乱暴なことしでかすかわからねえ人だから――

壮六 なあに、あんで性根をとっぱずすような頭梁じゃねえ。そんじゃ俺ら急ぐからな――(と飲みおえた茶碗を上り端において)お仙ちゃんよ、今にこのおじさんが、いいおむこさん探してやっからな、磨きあげて待ってろよ、ははは。

お仙 壮六おじさんの馬鹿!

お豊 みろ壮六さん、馬鹿なんてお嫁さんがあるかよ、ははは。

壮六 そいじゃな。

お豊 あい、よろしく頼んます。

(お豊のせりふにダブって、出征兵士を送る太鼓の音が次第に近づき、遠くで「ばんざーい」という人々の声がして、やがてそれらの音が次第に遠ざかる)

(街道をトットットットッと歩いて行く壮六の靴の音。