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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
忍術千一夜 第二話
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页
「――で、気がついてみたら朝でさ、三人で向こうの物置小屋ん中をうろうろしてた、ところを百姓たちに助けられて、狐に化かされたんだろうって、今まであの百姓家で寝かされていた、と、こういうわけなんでさ、どうも、なんとも面目ねえ」
お杉の姐さんは女である、女の中でもぬきんでて女らしい女である、彼女の唇には狐族にみる奸智と嗜虐の微笑がうかんだ。
「もういちどやるんだね」
姐さんは冷やかにこう申された、
「三人の名はあたしが番所へ届けちまった、もうおまえ達は佐貝を売らなくちゃあならない、今夜もういちどおやり、あの家にゃあ金がうなってる、いまも来六屋から五千両届けて来た、今夜は褌をしめてひと稼ぎするんだ、そして土地を売るがいいね、さもなければ、――」
「だって姐さん、あの家はもう」
「抜刀斬込み隊の意気でおやり」
姐さんはきっと眼を光らせた、
「裏口からこそこそいったりするからどじを踏むんだ、斬込み隊の意気で玄関から踏み込むがいい、たかが若僧ひとりじゃないか、おまえたちも男だろう、しっかりおしな、金はうなってるんだよ」
しかりしこうして三人は濠端に坐り、夜の来るのを待った。