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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
忍術千一夜 第二話
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页
持木屋成助が蓑賀殿の私宅へとび込んだのは、実にその盛大な酒宴の翌々日のことである。彼は死人のように蒼白め、狂人のように眼を血走らせ、奔馬のように鼻嵐を吹いていた、「先手を打たれました、すっからかんです」彼は苦しそうにあえいで水をくださいと悲鳴をあげた。――蓑賀殿は水をおやりなされたが、成助の話を聞くなりふるえだし、眼をつり上げ歯をくいしばってうめかれたうえ、あわてて御自分もその水をお飲みなされた。
「そ、それは本当か、いや、いや馬鹿な、……そんな、はははは、そんな馬鹿な事が」
「調べてごらんなさいまし」成助はもうひとくち飲む、「田丸屋の米倉、折屋の土蔵、水尾の酒庫、美那屋……どれもこれもすっからかんです、なんにもありません、からっけつのすかんぴんのがらんどうです」
「だがそんなはずはない、そんなべらぼうな」参蔵殿は憤然とひざを叩かれた、「わしは信じない、だって彼らにそんな事が出来る道理がない、なぜなら」
「彼らは感づいたのです、あなたと私どもとの密約を内偵したのです。それで先手を打ってやった仕事に違いありません」
「もしそれが事実とすれば」蓑賀殿は思いだされた、大阪のさる富商との取引を、その取引がまとまったことを、まとまった代償として内金を受け取ったことを、しこうしてその壱万両の内金をすでにしかるべく割り振って