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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

という知らせだ。虚報ではない、荷下しが始まった。米俵が、酒樽が、衣料が、海産物が、味噌醤油が、油の樽が、あらゆる物が浜へ積まれた。――これを聞いて奉行役所から蓑賀参蔵殿が出張した、果たして事実とすれば市の主脳部にとっては大恐慌である、かかる厖大な物資が放出されるとすれば厳酷な統制によって維持しきたったインフレ経済は破壊されてしまう。蓑賀殿は精細に調査なされた。しかし事実は現実であった。伊達、前田、島津、大藩ちゅうの大藩たる三侯の墨付があり、江戸幕府の許可書まであった。……蓑賀殿は血涙をのんで感謝の辞を述べ、配給に当たってはできるだけの便宜を計ろうと約束をし、もういちど血涙をのんで役所へ帰られた。

浜には小屋が設けられた、そして直ちに救恤物資の配給が始まった。市民は歓呼し凱歌をあげた、みんな一家総出で米を衣料を味噌を油を、その他のあらゆる物を運ぶのに三日のあいだ浜と家とを往復した。それだけではない、最後には小判五枚ずつの包みが配られた。なんと、それを配る人間をごらんあれ、かの三悪人、権頭に中将に杢、彼らでござる。

「押してはいけません、順々に、静かにしてください」