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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

そして三人の悪漢は、土ぼこりといっしょにかなたへ消えていった。

「ああ痛え、ひでえめにあわしゃあがる」出平は額をさすりさすり起き上がった、「まるでつむじ風みてえな奴らだ、ああ瘤が出来た」

「でも私の背中の瘤より小さいよ」

突然うしろでそう云う者があった。出平はひえっと叫んで振り向いた。そこに誰か立っている、誰か――眼っかちで背むしで跛の少年が、……出平はだらりと唇をたらした。

「どうしたい出来六、私だよ、忘れたのかい」

「ば、化物だ」出平、すなわちかの不逞なる下僕出来六はがたがたとふるえだした、「――幽霊だ」

「いや幽霊じゃない、化物でない、よくごらんよ足がある、跛の足がね、背中の瘤へさわってみないか、ずいぶん久し振りだったね、八百助だよ、まだわからないかい」

「ははははは」出来六は眼を恐怖におののかせながら笑った「こりゃあ面白い、ちょっとした冗談だ、なかなかの洒落だ、はははははさあ踊るぞ」

そして「うー」とうめくなり仰反さまに道の上へ顛倒した。八百助はやおら背伸びをし、手を振り足踏みをした、姿はくるりと剥け変わり、輝くような美丈夫に返った。――彼は懐中から折った紙を取り出し、出来六の胸の上へひろげて石で押えをした。