轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さんがつのだいよんにちよう

三月の第四日曜

宮本 百合子

「日本評論」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,826 字 · 42 页

青空文庫

中央の大時計に合わせて紅いエナメル皮で手頸につけた時計を巻いてから、サイはまた不安な気持になってハンドバッグをあけた。折り目の擦れたハガキには、五時ごろ上野駅へ着くそうです、と鉛筆で書かれている。五時ごろ着く汽車と云えば、ゆうべわざわざ王子の駅まで行って調べたときも、四時五十八分というのしかないのであった。

吹きとおす風をホームの柱によってふせぐようにして佇んでいると、やがて貨物運搬の車が入って来てサイの立っている少し手前で止った。駅員も出て来た。どの顔を見ても、夜でもないしさりとて朝になりきっているのでもない不愛想な表情で、四辺のそんな雰囲気からもサイの頼りない心持は募ってゆくようである。

地響を立てて青森発の長い列車が構内に入って来た。サイは体に力を入れるようにして機関車の煽りをやりすごすと、三等の窓一つ一つに気をつけて後尾へ向けて小走りに歩きはじめた。忽ち列車から溢れ出る人波に視野を遮られた。リンゴの籠だのトランクだのにつき当りながら一番尻尾の車の近くまで強引に行って見たが、それらしい姿は群集の中になかった。サイはホームの出口に近いところまで駆け戻った。