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さぶろうじい
三郎爺
宮本 百合子
「東京日日新聞」1918(大正7)1月5日~17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 页
になったのである。
五
その開墾というのは、彼の村と隣り村との間に、果もなく広々と横わっている草刈場を新しい村落にする計画であった。
「狐っぱら」という名がついていたほど、そこには狐ばかり棲(す)んでいた。あまり狐が多いので「烏さえ来ない」ほどだったのだそうだ。狐がいると、なぜ烏が来ないのか私は知らない。けれどもそこへ村を作るという噂を聞いたときには、皆が嘲笑せずにはいられなかったほど、荒漠たる処であったのだそうだ。
ところが案外なことには、彼がまだ、「屋大工」の手伝いのようなことをして、親方の伴をしながらあっちの小屋こっちの隠居所と作って歩いているうちに、あんなに草蓬々(ぼうぼう)としていた処には、いつともなく目鼻がついて来た。
そして、年季をしまって家に落着いた頃には、そろそろと移住民も姿を見せるようになり、今では寂寞として全く「狐蘭菊の花に隠れ住」んでいたところには、微かに人間の音が響き始めた。
時によれば、馬鹿な同胞(きょうだい)ぐらい、親しみのあるものに思われていた「ならずもの」も、だんだん彼等の位置を明かにされ始め、火繩銃の犠牲になったり「落し」