轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
シャンハイされたおとこ
上海された男
牧 逸馬
「新青年」1925(大正14)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,665 字 · 18 页
ヴィクトル・カレニナ号乗組二等水夫シン・サアキイ、こう地位と名前を頭の中で繰返して為吉は微笑を禁じ得なかった。
通路に面した右舷の一室を料理人と仕官ボウイと為吉が占領することになった。下級員が仕事している間に、船尾の食堂へ彼等の食事を運んで遣るだけで、後片付けは見習がすることになっていたので、為吉が彼等と顔を合わすのは昼間甲板で作業する時だけだった。従って機関部の人たちに遇うことは殆どなかった。石炭と灰と油に塗れて船底に蠢いている彼らを、何かと言えば軽蔑する風習が何の船の甲板部員をも支配していた。機関部の油虫なんか船乗りなぞという意気なものではないと為吉も子供の頃から思込んでいた。で、格別の注意を払わなかったが、同室のボウイの口から甲板部の下級員が十七人、機関部が二十一人で、船はこれから一直線に南下して木曜島で海鳥糞を積み、布哇を廻って北米西海岸グレイス・ハアバアで角材を仕入れ、解氷を待ってアラスカのユウコン河をクロンダイクまで上る筈だということなどを聞出すのを忘れなかった。それまでが今度の遠洋航路の第一期で、それからは傭船の都合で何処へ行くか判らないとのことだった。