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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页
吉本はざま見ろ、という風に、それを持ってきた。
三度演説会を開いた。――然し「残念ながら」何度開いても、それが具体的にどうなるわけでもなかった。どうにかしなければならない。事実荒川や阿部達も行き詰りを感じてきていた。――あせり出した。
方向転換
筆不精なばかりでなしに、手紙などというものを書いたことのない健が、思い出して、フト七之助に手紙を書いた。そして今度の争議のことを知らせてやった。
すぐ七之助から返事が来た。
――小樽の労働組合のものに、そのことを話した。そしたら小樽へ出て来い、と云うのだ。地主は小樽に居る。そんな処でいくら騒いだって、岸野には、百里も離れた向う岸の火事よりも恐ろしくない。都会の労働組合が応援して、一緒にやらなければ、その争議は決して勝つことは出来ないだろう、と云っている。一刻も早く争議団が出て来るように、話すことだ。云々――
このたった一枚の葉書が、思いがけなく、行き詰っていた方向に大きなキッカケを与えた。
そうだ、それだ!――気付かなかった。
争議団は活気づいた。――新らしい編成が行われた。
「争議団小樽出張委員」