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ふしのくすり
不死の薬
小川 未明
「日本少年 臨」1914(大正3)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,534 字 · 7 页
このとき、遠く北の方の海で汽笛の音がかすかに聞こえたのでありました。三人はまたその音を聞いて心の中でいろいろの空想にふけりました。
「さあ話すよ。」
と丙はいった。そのりこうそうな黒いかわいらしい目に星の光がさしてひらめきました。
「ああ、聞くよ、早く話したまえ。」
と甲も乙もいいました。
丙は、つぎのような話をしました。……
昔、支那に、ある天子さまがあって、すべての国をたいらげられて、りっぱな御殿を建てて、栄誉・栄華な日を送られました。天子さまはなにひとつ自分の思うままにならぬものもなければ、またなにひとつ不足というものもないにつけて、どうかしてでき得ることなら、いつまでも死なずに、千年も万年もこの世に生きていたいと思われました。けれど、昔から百年と長くこの世の中に生きていたものがありませんので、天子さまはこのことを、ひじょうに悲しまれました。
そこであるとき、巫女を呼んで、どうしたら自分は長生きができるだろうかと問われたのであります。巫女は秘術をつくして天の神さまにうかがいをたてました。そしていいましたのには、これから海を越えて東にゆくと国がある。