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ふりょうしょうねんとキリスト
不良少年とキリスト
「新潮 第四五巻第七号」1948(昭和23)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,079 字 · 29 页
ウソです。
親があっても、子が育つんだ。親なんて、バカな奴が、人間づらして、親づらして、腹がふくれて、にわかに慌てゝ、親らしくなりやがった出来損いが、動物とも人間ともつかない変テコリンな憐れみをかけて、陰にこもって子供を育てやがる。親がなきゃ、子供は、もっと、立派に育つよ。
太宰という男は、親兄弟、家庭というものに、いためつけられた妙チキリンな不良少年であった。
生れが、どうだ、と、つまらんことばかり、云ってやがる。強迫観念である。そのアゲク、奴は、本当に、華族の子供、天皇の子供かなんかであればいゝ、と内々思って、そういうクダラン夢想が、奴の内々の人生であった。
太宰は親とか兄とか、先輩、長老というと、もう頭が上らんのである。だから、それをヤッツケなければならぬ。口惜しいのである。然し、ふるいついて泣きたいぐらい、愛情をもっているのである。こういうところは、不良少年の典型的な心理であった。
彼は、四十になっても、まだ不良少年で、不良青年にも、不良老年にもなれない男であった。
不良少年は負けたくないのである。なんとかして、偉く見せたい。クビをくゝって、死んでも、偉く見せたい。