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りこんについて
与謝野晶子評論集
与謝野 晶子
与謝野晶子『与謝野晶子評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:離婚について、私の貞操観、三面一体の生活へ、平塚さんと私の論争、平塚・山川・山田三女史に答う、何故の出兵か。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,402 字 · 100 页
或時期に達した処女が異性を見て好悪の情を動かし、進んでは恋愛の感情にまで込入るのは、食事や睡眠の欲望と共に自然の要求であって、欲望がそれにのみ偏しない限りそれを不正だといって押え附ける理由は一つもない。恋愛は全く自由である。そういう好悪の情や恋愛が自生するので、それに催されて処女が一生の協同生活の伴侶である良人を選択する鋭敏なまた慎重な心の眼も開いて行く。但し如何に恋愛関係が成熟していても、終生の協同を目的とする結婚関係に由らずして自己の肉体を男子に許すことをしないのが処女の貞操である。処女の貞操が専ら肉体的であるのと異って、結婚後の婦人即ち妻としての貞操は良人以外に精神的にも肉体的にも他の男子と相愛の関係を生じないことを意味するのである。
自分がこの稿に筆を附けようとした初に今更の如く気が附いたのは、従来自分が自身の貞操という事について全く無関心でいたことである。自分は生れて唯一度一人の男と恋をして、その男と結婚して現に共棲している事を当然の事だとして、幸福をこそ感ずれ、少しもそれについて不安をも懐疑をも挟んだ事がない。一般の女子及び男子の貞操に関して考えた事はあっても自分の貞操は家常茶飯の事のように思っていた。