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せかいのかふ

世界の寡婦

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,525 字 · 17 页

青空文庫

未亡人という文字は単調だが、それを実質づける多種多様な立場の孤立した母、妻たちが、現代の歴史のあらゆる角度から、人間らしい生活の再建の可能を確保しようと歩み出し発言していることは、日本の私たちとして、真剣にくみとるべき態度だと思う。現代の世界の未亡人の歴史的な意味は、これら老若幾千万の女性たちが、自身のはかりしれない涙と不幸との理由をしっかり人類の進歩の中に理解した、というところにある。第一次欧州大戦の後のように、婦人として平和を希望する、というような弱々しい心情から歩み出して、平和と生活の安定を確立させるためには、男子とともにすべての必要な行動に入って行く、と実行にうつった点にこそ、新しい意味がある。

今日の辛酸にやつれている母たる妻たちは、こういうものごとの考えかたはあまり遠大で、理想倒れだと思うかもしれない。それよりも、目前の一枚の冬着を、とはげしく求める感情もあるであろう。しかし、私たちは、よくよく思いひそめなければならないと思う。この二月の総選挙のとき、ある種の婦人たちは、参政権よりは、やすい薯の方がありがたい、と言葉に出していった。目の前の欲しさを強調した。