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せかいへいわのすうせい
世界平和の趨勢
大隈 重信
「太陽 臨時増刊 第十七卷第十五號 戰爭歟平和歟」博文館、1911(明治44)年11月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,746 字 · 14 页
これに依ってこれを観るに、米国の海軍拡張なるものは、単に造船業者が儲けるためのものであることは明白である。既に然る以上、日本もまた、米国に備えるために、遽てて海軍を拡張するほどの必要もないであろう。ただその勢力の充実を図りて、戦闘に堪うる艦隊を造ればそれで宜しいであろう。即ち噸数の増加よりもむしろ内容を精良にすることに努むべきものであろう。
また世には露西亜の復讐戦に備えるがために、我が国は大陸軍を備えなければならぬという論者もあるが、露西亜の政治家とても、そう冒険的の蛮勇家ばかりではないから、勝算のなき戦いを仕掛ける虞はない。露西亜が果して日本に対して復讐戦を開始して勝ちを制せんと欲せば、日本の海軍を圧倒するだけの精鋭なる大海軍を必要とするが、これがなかなか短日月に出来るものではないから、まだまだ今十年や二十年は、露西亜が我が国に対して復讐戦を試むるなどいうことは、あり得べきはずがない。ことに露西亜は日露戦争に於て受けたる創痍のために、墺地利がボスニャ・ヘルチェゴビナを併合せるとき、独逸に威嚇せられて、力及ばずそのまま泣き寝入りになった苦い経験を嘗めたことであるから、愈々勝算疑い無しという時でなければ、我が国に戦いを挑まざるべきは分かり切ったことである。