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おかのどうぞう
丘の銅像
「新美南吉童話全集第一巻 ごんぎつね」大日本図書、1960(昭和35)年6月20日初版発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,087 字 · 17 页
」
と、いいました。
村の人たちは、なるほど、これは名案だと思いました。これなら、ちっとも、お金がいりません。それに、あの、だれだかわけのわからない銅像なんか、なくなったほうがいいのでした。
一週間ほどすると、丘の上の銅像のあごに、あごひげがくっつけられました。ヘンデル先生は、あごひげをもっていたからでした。村の人たちは、その銅像を見あげては、沼のほとりで、薬草をさがしていたヘンデル先生のことを、しみじみ、思い出すのでした。
十年にひとりぐらいは、村で、わるい伝染病にかかるものがありました。村の人たちは、ヘンデル先生の教えてくれた薬草を、さっそくせんじて、病人にのませました。すると病人は、二、三日のうちに、なおってしまうのでした。村の人たちはこの薬草を、ヘンデル草とよぶようになりました。
ヘンデル草は、春になると青い芽をふき、秋になるとかれていきました。そうして、なん十年か、なん百年か、すぎさりました。丘の下のうつくしい村は、むかしのとおりの、小さな村でした。けれど、村の人たちは、もうすっかり、かわっていました。ヘンデル先生のことを知ってる人は、もう、いなくなりました。