轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なかむらつねしのついおく

中村彝氏の追憶

寺田 寅彦

「木星」1925(大正14)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,911 字 · 4 页

青空文庫

部屋の一体の感じが極めて荒涼であったように記憶する。どうせこういう種類の下宿屋住居で、そうそう愉快な室もないはずであるが、しかし随分思い切って侘しげな住まいであった。具体的な事は覚えていないが、そんな気持のした事は確かである。

机と本箱はあった。その外には幾枚かのカンヴァスの枠に張ったのが壁にたてかけてあったのと、それから、何かしら食器類の、それも汚れたのが、そこらにころがっていたかと思うが、それもたしかではない。

一つ確かに覚えているのは、レンブラント画集の立派なのが他の二、三の画集と並んで本箱に立ててあった事で、これだけが荒涼な室の中に著しい異彩を放っていた。それからもう一つ、描きかけの自画像で八号か十号くらいだったかと思う。一体に青味の勝った暗い絵で、顔が画面一杯に大きくかいてあった。同行の中村先生があとでレンブラント張りだと評された事も覚えている。

その時までに見た中村氏の絵を頭においていた自分は、話のついでに「ルノアルがお好きですか」と聞いてみた。そうしたら、「ルノアルも好きだが、レンブラントが一番面白いようです」と言われたようであった。