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『せっかずせつ』のけんきゅう

中谷宇吉郎集 第二巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页

青空文庫

それでも大抵の魚は、充分自分の身体の通るくらいの目でも、それをくぐり抜けて逃げて行かないものだということである。もっとも三浦さんが潜水服を着て、潜って見た話を読んでみると、逃げる魚もかなりあるらしいが、そんな利口な連中は、勝手に逃がしておくのであろう。

ところが、なにぶん縦が四町、幅が七十間、それに深さも五十尋位はあろうという厖大な網だけに、その中へはいった魚をとるのが大変である。五艘位の舟に沢山の屈竟な若者が乗り込んで、一列に舟を並べて網の一方にとりつく。そして皆が船縁に並んで、胸をぴったりと船縁につけて深く身をかがめながら、手が海面につくまでずっと腕をのばして網をつかまえるのである。

伊東のこの大謀網では、その時は百三十人くらいの人が働いているという話だった。一せいにかけ声をかけながら、一方の手で網の目をたぐりあげて、他の手で次の網の目をつかむ。そしてうんと力を入れてそれを引き上げながらまた次の目をたぐるという風に、順々に網の底を五十尋の海の底から引き上げては放すのである。そして網の一方から順々にたぐって行くと、魚はだんだん一方の隅に押しつめられる。