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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
大急ぎで真剣になって泳いで逃げ帰るのであるが、岸へ上っても心臓の鼓動はなかなか止らない。
日本海の海岸は年々に沈んで行くといわれている。弁慶で有名な安宅の関というのは、私たちの毎夏行った所から数里と距っていない所であるが、当時の関趾は今では半里も海の沖になっているという伝説がある。晴れた日に海がよく澄んでいると、水底に鳥居のような形のものが見えるという話であるが、私は覗いて見たことはない。澄んだ深い海の底を覗くことは非常に恐ろしいものである。あの真蒼な暗い碧玉色の海の底に、人間の遺跡を示すようなものが見えたら、どんなにぎょっとすることかと思うと、とてもそんな所へ行って見る勇気は出ない。
そういう伝説は日本海の沿岸到る所にあるらしいが、その外にも時々漁師の網に石器時代の住民の使った土器がかかってきたという話もある。それも一つや二つの例ではないので、日本海の沿岸の大部分の土地が年々沈降して行くという話は、大抵の人は信用していることである。この問題は地球物理学的に見て、特に日本の島嶼の成因とか、日本の地震の問題とかに関連して大切な事柄なのであるが、本当の証拠になるような資料は思いの外乏しいようである。