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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
バチバチの発明などは、十年雪の中に暮した人でなくてはちょっと出来ないのではないかという気もする。企業家などは、きっと学者なんて役に立たぬものさということであろう。しかし今いったような物理的研究が本当に不必要かどうかは急には分らないことだと自分では思っている。
十勝の山番の老人が木を大切にする気持の純粋な点は誰にでもよく分る。ところが材木商が木そのものにはあまり愛着を持たず、それを紙幣に換えた時に初めて価値を認めることも決して不純な考えとはいわれないであろう。材木の大切な所以はそれを利用し得る点にあるのだから、利用価値という点のみから材木を見るというのもまた一つの筋の通った見方である。そういう見方のちがいというものは随分色々な所に出てくるもののようである。物理の実験室などでも、不用なものはどんどん棄てて、いつも砥ぎすました鎌のような気持で仕事を進めて行く人もあるし、随分くだらぬ木の端や真鍮板の片のようなものまで溜め込んで、玩具箱をひっくり返したような中で研究をしている人もある。倫敦の大学の地下室で実験をしていた頃、三寸か五寸位の針金の切端までちゃんと木箱に入れて納っておいて、針金が欲しい時には、それをはんだ付けして使っているのを見てひどく驚いたことがある。