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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
ところが、この「葉」の形が、海岸の干潟の濡れた砂の上に出来る氷の形と、非常に似ている点に着目した人があった。そしていろいろ調べて、実験などもやってみた結果、これは植物の化石ではなく、濡れた砂の上に出来る氷の化石であるという結論になった。波の痕や、小動物の足跡なども、化石になって残っているのであるから、そういうことがあっても、ちっともおかしくはないのである。砂の上に出来る薄氷の化石が出来るくらいならば、雪の結晶の化石も出来てよいはずである。雪自身を0度以上のところに保存することは、それはもちろんできない。しかし化石は何も、そのものを保存する必要はないので、痕跡をとどめればよいのである。それで天然に化石の出来る順序を、雪の場合に適用すれば、この問題は解決されることになる。
それには、まず水を溶かさない液体で、0度以下で液状を保っているものを使う。この液中に雪の結晶をひたしておいて、0度以下に保ちながら、この液が固化すれば、望みの雪の化石が出来るはずである。理窟は確かにそれで良いのであるが、そういううまい液体がなかなか見当らない。高分子などという言葉もまだ知らなかった時代の話である。