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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

文教当局でも、この点を大いに憂えておられるにちがいない。昨年の末頃から、高校の課程に、倫理科を復活しようという話があり、また社会科から地理や歴史を独立させて、学力の向上をはかろうという案も出ている。それに対して、いろいろな反対意見もあるらしいが、道義心を鼓吹し、学力の向上をはかること自身は、大いに善いことである。ただ問題は、倫理科の復活が、道義心の養成に役立つか否か、地理や歴史を分離することが、学力の向上になるか否か、という点にある。「万全はもちろん望めないが、倫理科の復活は、幾分かは道義心の高揚に寄与するから、やらないよりはよい」といわれるかもしれない。しかしこの問題は、そう簡単には片付けられないように、私には思われる。

現在の新学制に対して、いろいろな改革案が出るのは、要するに「六三制は巧く行かないから」というところからきている。六三制が巧く行っていないことは事実であるが、何故それが巧く行かないかという点をよく吟味しないで、表面に現われたところだけを改革しても、単なる逆コースに終ってしまうであろう。問題は、六三制そのものに欠陥があるのか、日本の国情に合わないのか、あるいはアメリカの六三制を、謬った形で輸入したか、そのいずれかであろう。