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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

一体どうしてそんな本が好きなのかときくと、「なに、アイヌと限ったわけではないので、僕は何でも文明の移りかわりということに、非常に興味をもっているんだ」と、とんでもないことをいい出した。そして一くさり文明論をやり出した。

まことに老職工らしくない話であるが、B氏の説というのは、なかなかちゃんとしたところがあって、大いに感心した。

文明というものは、常に変化しているもので、進歩するか、退歩するか、どちらにしても、始終動いている。アイヌとか、外の少数民族とかの場合は、他の強い民族の文明によって、著しい影響を受けるので、たいへん分り易い。しかしその強い民族のもっている文明自身が、やはり始終変化している。例えば、アメリカの文明でも、五十年前と今日とでは、本質的に、著しいちがいがある。

五十年前までは、例えば、選挙などの場合、皆が本気になって、良い人を選ぼうとしたものだ。しかし今日では、誰が当選したって、大したちがいはないから、本気になって選挙のことなど誰も考えない。政治というものは大切なものだが、こうなっては仕様がない。物質的には進歩しているかもしれないが、この国の文明も、下り坂になったのだろう。