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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
札幌人はなかなかハイカラで、よくエルマンやハイフェッツを呼んで、この「一流館」で、演奏会を開いたものである。ところが、戦後ここにもブームが起きて、この「一流館」は、二流または三流に落ち、新しい立派な映画館がつぎつぎと建ち出した。そして現在は、映画館の数は四十館に達したそうである。四、五年のうちに五倍くらいに殖えたのであるから、これも驚くべき発展である。
発展といえば、料亭の繁昌も、素晴らしいようである。最近は少し下火になったかもしれないが、一、二年前に、驚くべき話を聞いたことがある。大銀行の支店長として赴任してきた旧友の話で、嘘ではないと思う。札幌の一流の料亭で、芸者を呼んで少し派手な宴会をすると、一人前一万円には、どうしてもつくらしいというのである。「新橋や築地と同じなのだから、呆れた話だよ」といっていた。
ビルも、映画館も、料亭も、私には関係のないことであるから、こういう話には、最近まで、あまり興味がなかった。もちろん健全な発展とは思われないが、敗戦後の萎縮した気持から脱却するには、少し不健全でも、まあ「景気よく」やることにも、一応の意味があるのだろうくらいに、ぼんやり考えていた。