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なかざとかいざんの『だいぼさつとうげ』
中里介山の『大菩薩峠』
三田村 鳶魚
「日本及日本人」1932(昭和7)年10月15日号、11月1日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,523 字 · 27 页
本人の好みでそういうふうにしているんじゃない。
一〇六頁のところを見ると、神尾の屋敷内では、旗本の次三男が集って、悪ふざけをしている。こんなことはあったでしょう。けれどもここに出て来る女中の名が、「花野」とか、「月江」とか、「高萩」とかいうように、皆三字名だ。旗本なんぞの奥に使われている女どもは、大概三字名でないのが通例であった。
一一六頁になると、新徴組の話が出てくる。『大菩薩峠』が新徴組のことを書いたので、これ以来皆が新徴組のことに興味を持つようになったらしくも思うが、いよいよここでその新徴組の話になるのです。まずここは、
「新徴組」といふ壮士の団体は、徳川の為に諸藩の注意人物を抑へる機関でありました。
と書き出してある。もともと小説だから、善人を悪人に、悪人を善人に書いたところで、悪いわけはないでしょう。しかし新徴組というものを、こういうものだと思う人があったら、それは大変な間違いで、壮士の団体というのはまあいいが、決して「徳川の為に諸藩の注意人物を抑へる機関」だったのではない。浪士取扱いという名目で、浪人を沢山集めた。これは清川八郎の目論見で、それが新徴組になったのです。