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くたにやき

九谷焼

中谷 宇吉郎

「理学部会誌」1924(大正13)年11月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,535 字 · 13 页

青空文庫

N氏のいう所によるとちょっとの加減で釉薬の流れ方が拙かったり、結晶が発達し切らなかったり、または発達し過ぎて罅が入ったりするので、数百の中から漸く一個位しか、揚りのよい品は出来ない。それで非常に貴重になるのであるということである。私はこんなことをいって、頑張って来た。科学の重要なところはそこにあるのだ。薬を精密なバランスで秤って、色々の組合をつくって置いて、その各々を色々の温度と色々の時間で焼いて見て、高温計と時計とで、精確な記録をとっておけば、「アフリカの砂漠にその記録を落しておいて、仏蘭人が拾って」焼いて見ても立派な結晶焼が出来るはずですというのだ。N氏も勿論同感してくれた。そして色々の学校の窯業科などを出た人が、何故もっと組織的に、科学的に研究をしないのだろうといって訝っていた。実際、やれば出来るに極っていることを、誰もやらないのだから不思議だ。これと同じ不思議は至る処に一杯である。

もう半年で学校を出るという時になって、私は幾分、その理由が分るような気がする。要するに学校教育にそんなことを望むことが無理なのだ。特別な幸運で異常に偉い先生に付くことが出来て、科学の課程ではなく、研究するということの霊感を感応し体得することの出来たような異数に幸運な学生を除いては、通り一遍のままで卒業した多数の学生に