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らんぽぶんせき

乱歩分析

大下 宇陀児

「別冊宝石」1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页

青空文庫

」と、さもさも鳥に同情したようにいっただけである。

二人が探偵小説について語り合ったことは、ほとんどない。へんなことだが、ほんとうである。考えが、ずいぶん違うのだということを、互いにはっきり知っているせいかも知れない。彼がほめるものを、私の方は、そんなに感心しないということがよく起る。

「赤毛のレッドメイン」に、彼はたいそう感激し、井上良夫君から借りたのだといったようだが、その本をわざわざ私に持ってきて読ませた。私の方は、英語で読むのがめんどうくさくて、それでも、ほどたってから読み上げて本を返しに行ったが、彼ほどの感激はなかったから、彼は大いに不服だったにちがいない。今でも、それは同じだろう。彼は、探偵小説が、はじめのうち、どんなに退屈であっても、解決篇の出来栄え如何により、十分に満足するようだ。退屈な部分を読むのが、面白くてたまらない、といったこともある。私は、退屈だと、投げてしまうか、途中を飛ばして、解決篇だけを読んでしまうかする。この点で、私は「探偵小説の鬼」にはなれそうもない。乱歩は大きな鬼なのだろう。探偵小説につき、こんなにありがたい読者は、そう沢山にはあるまい。