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らんぽぶんせき
乱歩分析
大下 宇陀児
「別冊宝石」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页
ところが、誰もそれを公正な割当てにする方法を考えなかった。町会長としての私は、常会の席で、多く負担のできる家は多く負担して下さい。できない家は、できるだけのことで結構ですから、というようなぼんやりした希望を述べただけで、つまり各世帯の町会に対する好意に期待する、という甚だ根拠のないやり方で、その紛糾しそうな問題を片づけてしまったのであるが、乱歩の方は、先ず負担額の理論的根拠を割り出しておき、さてその上で、各世帯の実状に応じての割当てをしたのであろう。むろん、この方が、より公正であって、より理論的な方法にちがいなく、しかも乱歩は、自分でそのやっかいな計算をやって一覧表を作成した。ここに私は今まで気がつかずにいた乱歩の一面を発見したわけである。
彼については、土蔵の中で、深夜ろうそくをつけて、原稿を書くのだ、というような噂が流布されていた。
オスカア・ワイルドと同系統の耽美派だ、とも考えられただろう。
原稿の締切りには遅れるし、時には、全然中断したりすっぽかしたりするし、ひどくずぼらな性格のように見えた。
これらの感じ方は、彼の初期の作品に満ち溢れている、あのおどろおどろしさ、ねばねばしさ、そして妖麗さなどから来ている。