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ちちをさす

乳を刺す

邦枝 完二

黒門町伝七捕物帳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,474 字 · 35 页

青空文庫

ましたのでございます。愚痴のようではございますが、今から思いますと、手前共の部屋へ寝かしましたら、と、そればっかりが、残念でなりません」

「旦那。大層失礼なことを、おたずねするが……」

伝七が口をはさんだ。

「平太郎さんと、お由利さんとは割ない仲になっていなすったのかね」

「いえいえ。左様なことはございません。お由利も、親の口から申しますのは、何でございますが、固い女で、平太郎もまた気の弱い男、祝言の日のきまるのを、待って居りますような訳でございます」

「今朝はまだ、来ちゃア居ないようだね」

「はい。あんまり騒ぎが大きくなりましてはと、見世の者にも、口止めをいたしてございますし、結城屋へも、報してはございませんので……」

それを聞いていた留五郎は、伝七のうなずくのを見て、急に改まった。

「お内儀さん。じゃいよいよ、調べにかかろう。ひとつ、家内中の者を、呼んでもらいましょう」

夜半の出来事

お牧が出て行くと、間もなく、何れも色あおざめた男女五人が、入口へ並んだ。

「それでは申し上げますが、一番前に居りますのが、妹娘のお春で、十七になります」

「お由利さんは、確か十九だったね」