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ちちをさす

乳を刺す

邦枝 完二

黒門町伝七捕物帳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,474 字 · 35 页

青空文庫

女芝居の一座や、女牢の中なんぞでは、女同士が言い交わして、入れぼくろまで、するようなこともあるんだって……」

「そうか」

伝七が、腕をこまねいて考え込んだところへ、帰った来たのは竹道だった。

「親分、行ってめえりやした」

「おお、早かったじゃねえか。やっこは一晩、しっぽりと濡れて行ったか」

「恐れ入りやした。お手の筋で。……鴎硯さんは、さかえ屋へ上がっていやしたが、面白く騒いで寝て今朝七ツ頃に帰って行ったという、こちらに取っちゃア、何の変哲もねえ話なんで。……どうも相済みません」

「いや、御苦労だった。それでおいらの考えが纏まった。早速もう一度、百人町へ行こう。今度アちっとア、手ごたえがあるぜ」

「へッ、そいつア有難え話でげす」

「今夜は、遅くなるかも知れねえから、提灯の仕度をしてくんねえ」

「合点で……」

気負い込んだ竹が、出て行ったと思うと、あわてて引き返して来た。

「親分。いま袖ノ井さんの使いだという婆さんが、駕籠でめえりやした」

「袖ノ井の?……」

伝七は手にしていた煙管を、じっと睨んでいたが、それをごろりと畳の上へ転がした。

「よし。ここへ通しねえ」

「へい」