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ちぶさ
乳房
宮本 百合子
「中央公論」1935(昭和10)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,932 字 · 56 页
「――つくって……」
様々のありふれた推測が、ひろ子の胸に浮んだ。いずれにせよ、臼井と党の組織との連絡がついた、ということにはちがいない。
「だって、そのことと、あんたが、ここからかわるってこととは、別なんでしょう?」
タミノは直接それには返事をせず、自分自身の考えに半分とりこまれているような調子で、暫く経って呟いた。
「なかなか役に立つ女が少なくて、みんな困ってるらしいわねえ」
その言葉でひろ子には全部を語らないタミノの考えの道筋が、まざまざ照らし出されたように思った。
「こんどのところは――職場じゃないの?」
「…………」
ひろ子は、若い、正直なタミノに向って、こみ入った自分の愛情が迸るのを感じた。タミノは、おそらく臼井に何か云われて、彼女には職場での活動よりもっと積極的なねうちを持っているように考えられる或る役割を引きうける気になっているのではないだろうか。ひろ子としては、若い女の活動家が多くの場合便宜的に引きこまれる家政婦や秘書という役割については久しい前からいろいろの疑問を抱いているのであった。ひろ子は、なお下唇を捩るような手つきをして考えていたが、ゆっくりと云った。