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よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
「新青年」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,371 字 · 23 页
」
老教授の顳筋はぴりぴりと顫動し、蒼ざめた顔には、さっと血の色がのぼった。それも無理もない、息子の生死のわかれ目なのだ。
「まあ落ちついて下さい。今も申し上げたように、私は過失であるとかたく信じているのです。けれども、あなたが、御子息の陳述と物的証拠とが合致しておるはずがないとおっしゃるのも妙ですね。あの日は、あなたは早くから大学の方へ出ておられて、死体が発見されたのはそのあとの出来事ですから、現場も御覧になっておらず、御子息の陳述をお聞きになったわけでもないあなたが、はずがないなどとおっしゃるのは少しお言葉が過ぎはしませんか?」
判事の論理整然たる反駁におうて、教授はまったくとりつく島を失った。額には油汗が一面ににじんでいる。やっとのことで吃り吃り彼は言いつくろった。
「それは、その……せがれは気が変ですから、まさか、半狂人の言うことが事実にあっているとは思われませんので……」
「ところが御子息の陳述は事実とぴったりあっているのです。ただ、ほんの一箇所事実とあわんところがあるのでしてね。それさえわかっておれば、この事件はもう明瞭で、御子息の犯罪は『過失罪』