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にさんのさんめいについて

二、三の山名について

木暮 理太郎

「霧の旅」1928(昭和3)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,599 字 · 57 页

青空文庫

の記事の外にはまだ見当らない。橘南谿の『東遊記』には、見出しからして羽州の鬼という凄い文字を用いて、狼の話を人の好奇心を唆るように書いてあるが、読んで見ると其辺にうようよしている筈の狼が結局噂だけで影も形も見せなかった。それを南谿は大勢で通った為であるとうまく逃げている。親子が山小屋で狼に襲われ、親に喰い付いた狼を子が打殺して親を救い、孝子として表彰された記事なども二、三あるが狼はいつも一頭である。そんな訳で狼の害といっても高の知れたものであったろうに、所謂一犬虚に吠えて万犬実を伝うるという有様で、至極大袈裟に言いふらされていたのであろう。

『日本書紀』の「崇峻紀」には、

壊二飛鳥衣縫造祖樹葉之家一始作二法興寺一、此地名二飛鳥真神原一、亦名飛鳥苫田。

という記事があり、「採輯諸国風土記」の大和の部には、

昔明日香地有二老狼一、土人謂二之大口神一、故其地名二大口真神原一。

とありて、真神原と呼ばれる所以を説明してあるが、「風土記」が撰ばれた頃既に昔というた程であるから可なり古い言い伝えである。「欽明紀」の秦ノ大津父が二狼の相闘うを止めた記事は、狼に関する最初の文献というべく、其時の大津父の言葉に「汝是貴神にて云々」