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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
誘い出される好意がなければ出て来ない。一方、母は、客観的に、冷静に、如何う働くか、彼の心の様を観ようと云うのであるから、其間に、どうしても一種、渡り切れない氷河がある。
私は、母に対して、何より先に、まず愛そう、と云う暖さのないものを歎くと共に、Aに対しては、彼の独善的な、小さい、大らかでない心情を、情けなく思わずに居られないのである。
斯様な、デリケートなことは、仮令一日一晩、私が泣き明したとて、一時に、どうなるものでもない。
此事を話した時にも、自分は胸に迫り、涙を流さずに居られなかった。
どちらもいとしいのだから、どちらも仲よく、心を開いて打ちとけて欲しい。睦しい団欒がしたい。虫のよい願いかもしれないが、自分は、父母良人、弟妹と、皆、一つ心で笑い、働き、楽しみたいのである。
大晦日の晩、自分等は予定通り、吉田さんの処へ行った。人数は差程集まらなかったが、何と云っても、鍋から、おこげを分けて貰って食べた友達である。紐育時代のこと、結婚した友人の誰彼のこと。話したりカードを遊んだりして居る最中に、遠くの方で、百八の鐘が鳴り始めた。近所に寺が少ないと見え、あまり処々には聴えない。