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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
自分が如何う云う内的の動機で書いたか、説明は耳では聞かれる。が、心に些も入らない。
九月の初旬、母は、憤って私を呼びつけられた。
如何程、熱心と誠意とで説明しただろう。
自分は、一大危機に面して居るのを覚えた。どうかして、彼女に理解し、納得して貰わなければならない。芸術家としての一生には、此から、猶此様なことが起らないとは限らない。その度に、斯程の誤解と、混乱があるのでは、どうしたらいいのか。又、彼女の威脅や涙に、創作を掣肘されては堪えられない。今まで、自分は充分、それを受けて来た。やっと、人間として生活し始め、独特な作品も出ようと云う時、又、再び、貧しき人々の群を書いた頃の、従順を期待されては、全く、一箇の芸術家として、立つ瀬がないではないか。
これ程、自分の感情、よく云われる悪く云われる、世間体、体面を喧しく云われるのなら、何故、自分を仮にも芸術家として世に立たせて呉れた。何故、左様な天分を与えて生んで呉れた!
涙が、押えても流れた。母と自分の為、一生の用意の為、自分は、心のあらいざらいの熱誠をこめて、話した。
母も泣かれる。
私なんかは、如何う云われようが、何と思われようがお前の芸術さえ、崇高なものになれば、構わない。