轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页
うたが歌いたくなった。本当に、行ける! 行く。――その思いは、遠くに森の見える地平線や、高い空で白く光っている雲にまで響くようで、伸子は、
「ね、ね」
と素子の手をひっぱった。素子と伸子とは、うれしさが明瞭になるにつれ、元気が出て、大股にどんどんと畑の間の道を歩きまわった。一つの丘の裾をめぐって下り、小さい川に、かけられた丸木橋をわたった。そのまましばらく行くと灌木のしげったかげに木の柵のある農家の横へ出た。そこはいつか、竹村の温室をみにゆくとき通った鵞鳥のいる農家だった。
「あら、こんなところへ出てよ!」
面白そうに伸子が立ちどまった。きょうは、どうしたのか鵞鳥はいず、柵の上にまたがって二三人の男の子が遊んでいた。草道を足音もしないで来て急に灌木のかげから現れた二人の女たちを見つめて、子供たちはじっとしていたが、その柵を通りすぎてしばらくすると、うしろから、
「ヤーイ狐の嫁入り!」
と、はやしたてた。
ぎらつく日のきらいな伸子が、白い大きなハンカチーフの端を髪の上にかけ、つみ集めた花をもっていない方の手でかつぎのようにもう一つのはしをもって、西日をよけながら歩いているのであった。