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にじゅういち

二十一

坂口 安吾

「現代文学 第六巻第九号」1943(昭和18)年8月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,877 字 · 21 页

青空文庫

兄弟にききただしても嘘をつくにきまっているし、婆さんは占師の本宅は門前払いで、若しも強いて訪ねてくれば、それを限りに絶縁するということを堅く言い渡されていたのであった。

この占師は中学生のころ修三を訪ねて行って(修三は占師の家にいた)時々見かけたことがあったが、占師という特殊な世渡りが我々に感じさせる悪どいものはなくて、文学青年的な神経をもった根気のつづかない憎めない人というような印象を受けた。膝つき合せれば何事でも腹蔵なく言い合えるような印象だったが、婆さんの依頼の用で会う気はなかった。ほったらかしておくと、サイソクが急になったので、やむなく連日の医療訪問を中止してしまった。

ところが、僕が訪問を中止すると、まもなく、修三兄弟は遊びつめて首がまわらぬ仕儀となり、婆さんを置き去りに夜逃げする。婆さんは金光教の信者だったので、本郷の金光教会へ引きとられた。これらの出来事を僕は知らずにいたのである。

ある日、婆さんから手紙がきて、之までの事情が書いてあり、修三兄弟夜逃げの責任を問われて送金を絶たれたが、こんな筋の合わぬことはない。ぜひ力になって欲しい。