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にじゅっせいききしゅ

二十世紀旗手

太宰 治

「改造」1937(昭和12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,083 字 · 28 页

青空文庫

瞳濡れたる小猫の様にて、そろりそろり、めぐりあるいて、およろこび下さい、ようやく昨夜、語る糸口見つけましたぞ、お茶を一ぱい飲んで、それから、ゆっくり。

お話のまえに、一こと、おことわりして置きたいこと、ほかではございませぬ、ここには、私すべてを出し切って居ませんよ、という、これはまた、おそろしく陳腐の言葉、けれどもこれは作者の親切、正覚坊の甲羅ほどの氷のかけら、どんぶりこ、どんぶりこ、のどかに海上ながれて来ると、老練の船長すかさずさっと進路をかえて、危い、危い、突き当ったら沈没、氷山の水中にかくれてある部分は、そうですねえ、あのまんじゅう笠くらいのものにしたところで、水の中の根は、河馬五匹の体積、充分にございます。きみもまた、まこと、われを知りたく思ったときには、わが家たずねてわれと一週間ともに起居して、眠るまも与えぬわがそよぐ舌の盛観にしたしく接し、そうして、太宰の能力、それも十分の一くらい、やっと、さぐり当てることができるのじゃないか、と此の言葉の、ほぼ正確なることを信じてよろしい。一語はっするということは、すなわち、二、三千の言葉を逃がす冷酷むざんの損失を意味して居ります。