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にはいじん
二癈人
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1924(大正13)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,388 字 · 23 页
で、その事を話しますと、『では、それが再発したんだぜ。つまり一種の夢遊病なんだね』友達は気の毒相にこんなことをいうのです。
さあ、私は心配になって来ました。私は夢遊病がどんなものか、ハッキリしたことは無論知りませんでしたが、夢中遊行、離魂病、夢中の犯罪などという熟語が気味悪く浮んで来るのです。第一若い私には寝とぼけたという様なことが恥しくてならなかったのです。若しこんな事が度々起る様だったらどうしようと、私はもう気が気ではありません。その事あって二三日してから、私は勇気を鼓して知合の医者の所へ出掛けて相談して見ました。ところが医者の云いますのには、『どうも夢中遊行症らしいが、併し一度位の発作でそんなに心配しなくともよい、そうして神経を使うのが却って病気を昂進させる元だ。なるべく気をしずめて、呑気に、規則正しい生活をして、身体を丈夫にし給え。そうすれば、自然そんな病気も直って了う』という至極楽天的な話なんです。で、私も諦めて帰ったのですが、不幸にして私という人間は、生れつき非常な神経病みでして、一度そんなことがあると、もうそれが心配で心配で、勉強なども手につかぬという有様でした。