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にひゃくとおか
二百十日
小川 未明
「小学六年生」1939(昭和14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,094 字 · 11 页
」と、正二は、不思議そうに、見上げていました。
「いや、どこかに隠れていて、やんまの弱るのを待っているのだ。なかなかずるいやつだからな。はやく助けてやんなさい。」
おじいさんは、まごまごしていると、やんまが、疲れて死んでしまうと思ったのでした。
正二は、勝手もとへいって、長い物干しざおを取って、裏の方へまわりました。庭には日ごろから、おじいさんの大事にしている植木鉢が、たなの上に並べてありました。彼は、それを落とさないように、自分の力にあまる長いさおを持ち上げて、垣根の際までいきましたけれど、まだそのさおの長さでは、くもの巣までとどきませんでした。
「おじいさん、だめですよ。」
やんまは、まだ生きていて、ときどき思い出したように、羽ばたきをしました。けれど、どうしたのか、くもはまだ姿を見せませんでした。
「さおが短いか、よわったのう。」と、おじいさんは、眼鏡の中から、小さな光る目で、やんまを見つめていられました。
「ああ、重い。」
正二、さおをドシンと垣根の上へ倒しました。そのくもの巣は、高い木立の枝から、隣家の二階のひさしへかけているので、隣の屋根へ上がるか、それとも隣の塀の上に登らなければ、さおがとどかなかったのでした。