轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にかてんいんてんきゅうこうべっけん

二科展院展急行瞥見

寺田 寅彦

「中央美術」1933(昭和8)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,042 字 · 8 页

青空文庫

ものである。坂本繁二郎氏のセガンチニを草体で行ったような牛の絵でも今見てもちっとも見劣りがしない。安井氏のを見ると同氏帰朝後三越かどこかであった個人展の記憶が甦って来て実に愉快である。山下氏のでも梅原氏のでも、近頃のものよりどうしても両氏の昔のものの方が絵の中に温かい生き血がめぐっているような気がするのである。故関根正二氏の「信仰の悲み」でも、今の変り種の絵とはどうもちがった腹の底から来る熱が籠っていると思われる。すべての宗教には陰惨なエロチシズムの要素をもっているということをこの絵が暗示しているように思われる。中川一政氏の素朴な静物も今日よく見直してみてもやはり何とも説明し難い実に愉快なすがすがしさをもっている。これらの絵はみんな附焼刃でない本当に自分の中にあるものを真正面に打出したものとしか思われない。これに反して今時の大多数の絵は、最初には自分の本当の感じから出発するとしても、甚だしいソフィスチケーションの迂路を経由して偶然の導くままに思わぬ効果に巡り会うことを目的にして盲捜りに不毛の曠野を彷徨しているような気がする。青く感じたものは赤く塗り、丸く見えたらいびつに描くというような概念的機械的方法によって製作しているのではないかという疑いが起るのは、やはり許してもらう外ない。