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にせんどうか

二銭銅貨

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1923(大正12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,143 字 · 34 页

青空文庫

それは、態々彼奴に敵のありかを教える様なものではないかというのである。

「だが少くとも現在に於ては、俺は彼奴に打勝ったのだ。エヽ君、あの天才泥坊に打勝ったのだ。この際、五万円も無論有難いが、それよりも、俺はこの勝利の快感でたまらないんだ。俺の頭はいい。少くとも貴公よりはいいということを認めて呉れ。俺をこの大発見に導いて呉れたものは、昨日君が俺の机の上にのせて置いた、煙草のつり銭の二銭銅貨なんだ。あの二銭銅貨の一寸した点について、君が気づかないで、俺が気づいたということはだ。そして、たった一枚の二銭銅貨から、五万円という金を、エ、君、二銭の二百五十万倍である所の五万円という金を探し出したのは、これは何だ。少くとも、君の頭よりは、俺の頭の方が優れているということじゃないかね」

二人の多少知識的な青年が、一間の内に生活していれば、其処に、頭のよさについての競争が行われるのは、至極あたり前のことであった。松村武と私とは、その日頃、暇にまかせて、よく議論を戦わしたものであった。夢中になって喋っている内に、いつの間にか夜が明けて了う様なことも珍しくなかった。そして、松村も私も、互に譲らず、「俺の方が頭がいい」